タイトルのこの本を読んでまず思い出したのは、アインシュタインの名言、
「常識とは、18までに身につけた偏見のコレクションのことを言う」
まさに、これ!でした。
こんなことが常識だったなんて!!!と驚くことばかりです。
岩波文庫「忘れられた日本人」宮本常一
「ひと味」の活動について兄に話していると、進められ読んでみました。
(「ひと味」とはHave A Nice Dayのインタビュー活動のひとつですhttp://hitoaji.blogspot.jp/2015/04/blog-post.html)
宮本さんは昭和14年以来、日本全国をくまなく歩き、各地の民間伝承を調査された人です。
歴史の教科書に載っていることは、世の中全体の流れや、
権力者や戦争のことがほとんどです。
でも、普通の人の普通の暮らしについてはあまり触れられていません。
その時代を80年くらい生きた人たちが自分の人生を振り返った時に、
自分の人生で何が印象に残っていて、その時どう感じたのか、
今それをどう思っているのか、自分のことをどんな風に思っているのか、
何を大切にしていて、何を楽しみにしていたのか、
そういうことは、ほとんど知りません。
今、私たちがやろうとしていることは、
有名人だったり、世界を動かしている人たちではなく、
すぐそばにいる人たちが、この人、ちょっと素敵だね!と思っている、
80年くらい生きて来たその人たちの、
そういうことを、伝えたいと思っています。
まさにこの、「忘れられた日本人」は、
今、私たちがやりたいと思っていること、伝えたい、残したいと思っていることを、
昭和14年ごろにされている本です。
下のお話は、泣ける話ですがその前に、今の世の中だったら、
見知らぬ村の家を訪ね歩き子供を預けるなんて考えられないけれど、
これもまたこういう世の中だったからこそあった、心打たれる話でした。
また昔は、普通の家が旅人を泊めてあげることはよくある話だそうですが、
今では全く知らない人を、家に泊めるなんて考えられません。
しかもなんと、それだけでなく、その旅人がそのまま住み着いたり、
あるいは泊めてあげた家の人が旅人に家を作ってあげることもあるそうです!!!!
ありえないことです!!
読み進める度に、新鮮で、不思議な気持ちになります。
岩波文庫「忘れられた日本人」宮本常一 から引用
<引用その1>
よほど暮らしが難しいところであったそうです。それで余った子供を村へ連れてくる者が多くありました。敬太郎の家も暮らしが貧しうて、母親が子を連れてやって来ましてな、方々の家へ頼んであるいて、頼むと言いましても、まあ、その家へいって、「今晩一晩泊めてくだされ」と頼めば、誰も断るものはありません。台所の囲炉裏ばたへあげて、夕飯を出して、しばらくしているとそのうちに、皆それぞれ寝に部屋へ入る。啓太郎と母は囲炉裏のはたに寝るわけです。啓太郎の母はそれが悲しうてならぬ。この子は自分が帰ってしまったら、こういうように一人でここに寝せられるかもわからん。そう思うと、「よろしくたのみます」ということができん。それで、あくる朝になると「いろいろ、お世話になりました」と出ていく。泊めたほうもこだわることもなく、「あいそのないことで」といって送り出す。こうして家々へと回ってみて、親が気に入らなければ、子供をあずけなくてもよいわけでございます。それで私の家へ来た。夕飯がすんで話を終えて、皆部屋へ入ったが、祖母に当たるモトばあさんが、「可愛い子じゃのう、わしが抱いて寝てやろう。」というと、素直に抱かれて寝ました。この家なら、子供を置いて行けると思うて、「よろしくたのみます」と言って帰って行ったそうな。
<引用その2>
昔から、旅人が多くやってきて、住み着く者もいたそうです。今じゃ旅行に来た人が自分の家に住み着くなんてありえない!でも、昔はそんなことがあったそう。
ーよほどの老人であったようであります。私の家へ荷をおろしてなんとなくそのまま落ち着いて、年はとっておりますし、私の家でもこの家の前の屋敷に小さい家をつくって、そこに住まわせました。別にたのまれておいたのでもなく、たのんでおいたのでもありませんが、もとはそういうことが多かったのであります。
中略 (なんとその爺さん、連れの女性もいたようです。)
この土地で二人とも死に、私の家で葬式も出しました。死にましても、大阪の知らせる家もなく、そのまま終わりました。昔はそういう人がちょいちょいありました。前歴を人に語ることのできぬようなこともあったのでありましょう。しかしまた、村の者もそういう事を聞こうとしなかったものであります。
Have A Nice Day
寅貝真知子
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